2013年4月18日木曜日
『世界一回転のたび』
こんな世界だったらいいのに
って、どんなふうだったら自分(わたし)が納得するのかぜんぜんわからないくせに
ついうっかり、
こんな世界だったら私はもっときちんと生きていくのになあ
なんて考えてしまう。
こんな世界って、どんな世界だよ。
そもそも世界ってなんだよ。 地球?
まあ地球か。
でもね、
あの耳触りな咳払いとか、
てゆうか笑顔とかね。
そういうの思い出すと自分が素晴らしい世界みたいなとこに、過去には行けてたみたいに思ったりするよ。
それは全部あなたのおかげだ
でもそんなに爽やかなものでもなくて、
うん本当はそんなに爽やかなものじゃない。
私はあなたのことが好きだ。
私はあなたのことが好きだっていう気持ちの十倍、あなたのことが嫌いだ。
あなたのこと嫌いだっていうのの十倍好きだし、その好きさの十倍嫌いだし
っていうふうに、ぐにぐにと永遠につづいていく気持ちです。
だから今日は昨日と地続きだし、
今日と明日とあさってなんて、どの順番でやってきても私は気付かないよ。
あなたのこと
とても汚いものみたいに感じています。
腐ってるみたいで。臭いみたいな。
真っ黒なカラスとか悪魔みたいで
ばさっとしていて
近づきたくないのに、
それでも
いや、だからかもしれないけれど
その汚いものと同化したいみたいに
私はあなたに抱きしめられたかったりセックスしたかったりする
(私はあなたに抱きしめられたりセックスしたりする)
私もいつか真っ黒に腐って
誰もふたりの近くに寄らなくなればいいのに
って、こういうしょうもないこと考えている自分は
私があなたのことを好きだ嫌いだっていう気持ちの百倍、嫌いだ。
「こんな世界じゃなかったらよかったのに」
こっちのほうが、いまのわたしにはしっくりくるんだ
世界が一回転してるみたいだ
こんな世界だったらいいのに
と、
こんな世界じゃなかったらよかったのに
そのふたつを、
こんな時間にベッドの上で行ったり来たりしている私は、
2つの世界をまたにかけていて格好良い。
ああ貧乏くさい。
世界一回転の旅は、
心のぐちゃぐちゃをなかなか整頓してくれなかった。
世界一回転の度に、
少しずつ、どうでもよくなっていくのかな
ウエルカムトゥーマイワールド
これが私の、とっちらかった世界です
2013年4月2日火曜日
『あなたにしか当てられない曲名』
手が離せないんだよ
手が離せないんだよって、
あなたは泣きそうになりながら私に言った。
それが、私たちの最後の会話だった。
その日、私たちは手を繋いでいた。
あえてそんなふうにして、二人で自分たちをいじめながら歩いた。
冬だった。
繋いでいる方の手は信じられないくらい暖かかった。
別れると決めていた日。
都内の、お洒落でもなんでもない
本当にどうでもいいところで
あなたと付き合うことになる前
実は私は知っていたんだよ。
よく世間で言われるやつ、
う し な っ て か ら 大 切 さ に 気 付 く
ドラマでも散々見てきたし、
私だって少ないけど、身に覚えがないわけでもなかった。
だから次に人と付き合うことになったらさ、
どうせ失うまで気付けないんだ私はバカだからまた。
って言い聞かせていようって、
そのことわかってて付き合えば、そんなのたいしたことないって
そんなことを考えていた。
別れた後に大切さに気付く予定だったのに、
あなたはその一歩手前で格好悪くごねた。
手が離せないんだよと言って、
泣きそうな顔で、
おもちゃ売り場を離れたくない子供みたいに。
だいたい 手が離せないって、こういう時に使う言葉じゃないだろって、
もうわけわかんなくなってんじゃんって思った。
ダサくて、
泣き出しそうな顔は本当に不細工で、
情けなくていくぢない。
本当にあなたらしくて
つい笑ってしまいそうになったのに、 私は、泣いていた。
理解するのに少し時間がかかった
戸惑っているうちに、可笑しくなってきてよけいに泣いた
たしかに、
こりゃ手が離せないくらい心の中が忙しいな私も。って
くだらないこと考えながら泣いた。
とまらなかった
とまらなくたっていいと思った
雪が降るわけでもない
綺麗な噴水の前でもない
美男でも、美女でもない
みっともなくて、恥ずかしいドラマみたいになっていたはずだね
その後どうやって別れたのかは覚えていない
あなたのあのダサい台詞が最後の会話だったのかも、本当は覚えていなくて、
ふと気付いたら今。みたいに
手を繋いだまま 真っ暗になって
CMにいくテレビドラマみたいだなと思ったからさ
エンディングテーマをこさえようと思って、
ふたりが好きだったあのバンドの曲を口笛でやってみるんだけど、
ふい ふい って。 鳴ってるんだか鳴ってないんだかわからないくらいだよ。
ダサいドラマにはピッタリじゃんね
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