2012年2月23日木曜日
『あの雲』
お昼休みに空を見上げたら
朝見た雲とおんなじ雲が浮かんでた。
あれもしかしてあの雲ずっとあそこでああしてるのかなと思ったけど、
そんなわけなくて。
だいたいこんなのデジャブみたいなもので、
私だって朝見た雲なんて本当は覚えてないのかもしれない。
それか似た雲か。
食べたらすぐに歯を磨きなさいって歯医者さんに言われたから、
だからあなたは虫歯すぐできるんですよって
知ったようなこと言われたから、
仕方なく早足でトイレにむかう。
ポーチから歯ブラシセットを取り出して
ぎざぎざの山に歯磨き粉をのせたら
私はもうすっかり歯を磨く気になっている。
いつもそうだ。
この世の中にも歯磨き粉のっけちゃったら、
紛争とかそのへんのことも解決しちゃうんじゃないだろうかと
くだらないことを考えながら歯を磨いた。
私も世界平和を願うとしになりましたよ。
オフィスに戻って窓の外を見上げると、
やっぱりあの雲がのんきに浮かんでいた。
のんきな雲をよそに、始業時間になった。
雲はいいよなー。
恋に悩んでるうちが花なのよ
と、なんのひねりもない言葉で母親が励ましてくれたけど、
なんかいま急に染みてきた。
いや、仕事しなくちゃ。
退屈な日々に慣れてしまって、
私が好きになる人も退屈な人だ。
アイツもう少し綺麗にスーツ着れないのかとか思っていたのに、
いつのまにか好感をもってしまった。
なんとなくあの人の方を見たら、
窓際で空を見ながらぼんやりしていた。
仕事しろよと思ったけど、
彼の視線の先にはあの雲がありました。
あー雲になりてえなと、
なんかそんなこと考えているようなだらしない顔をしていて、
嬉しかった。
口の端に白い歯磨き粉がついていて
あの人もしかしてあの雲で歯を磨いたんじゃないかと思った。
あー私がどんどん退屈になっていくようだ。
ダメなやつを好きになるのはよくない。
ぜったいよくない。
それでも私はあなたが好きだ
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