2013年3月29日金曜日






















『靴下を捨てるってこと』





かかと からなら諦めるんだけどさ、

親指のところに穴があく

いつも、

いっつもそうだ。

これなんて、まだ買ってから何回履いたんだろう。

新品ですよってフリーマーケットで売れる綺麗さだよ
それは言い過ぎか

でも さきっぽ穴あいてたんじゃさ。ダメじゃんね。


ゴミ箱にこいつを捨てる前に、

ベッドにあおむけに寝転んで、

(両足は床のうえ

膝を90度に曲げてさ

体だけベッドのうえに投げ出した)


この部屋の天井ってこんな感じだったっけ

手を広げて、どんって寝転んだもんだから、

なんだか私が想定していなかったスピードで、

いっきに体の力が緩んで、

そのせいで泣いちゃいそうになった。自分に、びっくりした

この天井ってこんな感じだったっけ

どんな感じでもいいけどさ、

もっと全く見たこともない感じでいてくれればよかったのに。

この天井のことなんてぜんぜん意識してないし、

どうだっていいのにさ

なんだかあの人のこと全部思い出しちゃうような、

なつかしいような、とにかく胸の上のほうがうわって。

そんなふうに思えてしまった。

そういう罠みたいのが、生活の中のあちこちに点在していて

誰がしかけてるのか知らないけどさ、

そいつを見つけたところで、くびねっこを掴むほどの元気もなさそうだ

あの、いつまでそういう罠?みたいのしかけるんですか?って、

ぼそぼそと話かけるくらいのことしかできないんだきっと



靴下を脱いで

ざっくり右と左をまとめて

あっちのゴミ箱に投げてみたけど、  外れた
床に落ちた可哀想な靴下。

はやくちゃんとしてあげなきゃと思って、

靴下ひろって、捨てようとして手にとった



靴下を捨てるときにさ、

いつも思うんだよ

これの寿命は本当に今日だったのかなってこと

私の足が、もっときっちりした形だったら、

きっともっと生きられたはずだし

もっとちゃんと足の爪を綺麗に整えていたら、

さきっぽから穴あいたりしなかったのかなって。






また捨てんの靴下ー

だってしょうがないじゃん穴あいちゃったんだもん

そんなんまだ履けるだろ

女子はそういうわけにもいかないらしいんだよ

あ。

なに?

俺もね、居酒屋行く日は穴あいてるの避けるわ

はあ

なんかちょっと女子の気持ちわかった気がする





あ。

また罠。

あいつが女子の気持ちを理解した夜のことを思い出した

なんにもわかってないじゃんか。ばかだなやっぱりあいつは。




部屋で一人で、

さっきは泣きそうになって、

いまはちょっと笑ってるし

忙しいやつだな




姿見に映った自分の顔とか、

いや、

上から下までトータルした私が、ひどくブサイクだった


こりゃこれから幸せになる感じの人の姿じゃないなと思ったけれど、


運命はきわっきわのところで、まだわたしの味方だと信じてるんだ。




ばかです


0 件のコメント:

コメントを投稿